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   ただよいながら…
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「煙か土か食い物」(講談社ノベルス)  舞城 王太郎

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すごいスピード。

小説なんですけど、しゃべってます、この人。

完全にしゃべってる。


「・・えっ・・っと・・句点は?」


って聞きたくなるくらいしゃべってる。


あまりにもしゃべり続けるので、はじめのうちは

「ちょっと黙ってね」

って感じで読んでましたが次第になれてくると主人公の感情が
ダイレクトにくるので、どんどん引き込まれていきました。

とても暴力的で、自虐的で、あきれるくらい痛そうでしたが、
家族や兄弟に対する思いをすべてしゃべって吐き出して、
最後は「よかったねー」と涙ぐみました。

嫌いな人は嫌いな作品。

実際、文学界でも評価は真っ二つ。

私は結構好きでした。

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「Q&A」 恩田陸

201680b.jpg2002年2月11日(祝)午後2時過ぎ、都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できず――。次々に招喚される大量の被害者、目撃者。しかし食い違う証言。店内のビデオに写っていたものは? 
立ちこめた謎の臭いは? ぬいぐるみを引きながら歩いてた少女の姿は? はたして、これは事件なのか、それとも単なる事故か? 謎が謎を呼ぶ恩田陸ワールドの真骨頂!


恩田陸の作品は、いつも友達が貸してくれて何冊か読みましたが、
好きな作家の一人です。なのに、1冊も持っていませんが。

いつも貸してくれてありがとう。

この人の作品はなんというか不思議で、そして怖い。

人の中の狂気を、さらっととても読みやすく、分かりやすく表現する。
だからこそ、その狂気がストレートにこちら側に入ってくる。

普段当たり前すぎていて、認識していないことを自然に伝えてくる。

そこが怖く、そしてひきつけられます。


誰も気がつかない一瞬で人はいとも簡単にパニックになる。
パニックから生まれる、あせり、恐怖、絶望感。
そこにはもう、人としてのモラルも思いやりも感情さえもなくなる。
そしてその先に残ったものはいったいなんなんだろうか。

(本文より)
「そこに当たり前の生活が待っていると信じていたからです。しかし、それが僥倖である、本当は当たり前ではないと気が付いてしまうと、帰るのが怖くなった。そこには何もない。もしくは、そこで何が起きても不思議ではないと、どんな恐ろしいことが起きていても不思議ではないのだ、と考えるようになってしまった。」

とんでもない絶望だと思いました。
毎日こんなこと考えてたら気が狂ってしまいそうだけど、
だけど、きっと誰にでもどこにでもいつ起きてもおかしくない日常。


生きていることは絶望でありと奇跡であるのかもしれない。
  
     
海辺のカフカ 村上春樹

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ものすごく、面白かったです。
この作品のベースにもなっている
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読んでいて良かった。

この人の作品の文体、構成に慣れてた分、とても入りやすかったのと、
「世界の終わりと~」から20年近くも経っているので
作者自身の文章能力もかなりアップしたんだと思います。

今まで、人気を極め過ぎていて中々手を出す気になれず、
前回読んだ「世界の終わり~」も理解するまでに友人を巻き込んだりして
村上春樹作品はどうしたものか。と思っていましたが。

これは本当に良かった。
相変わらず「?」ってところもあったけど、本当に面白かった。

面白くて我慢できなくて、会社まで家からずっと歩きながら
読んでしまうくらいでした。

電車からその姿を見ていた職場の人に、
「おかしい人に見えるからやめんちゃい。」って言われました。

相変わらず、どこがどう良かったとうまく説明できない自分の文章力の
無さに落ち込みますが、これを読んで自分の見識がちょっと深まったような
気がします。

錯覚でしょうか。
  
     
「神様からのひと言」 萩原 浩

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大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや…。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。 (BOOKレビューより)



寝ているか、本を読んでいるか、バレエがあればバレエに行くか。
最近はずっとそんな毎日です。

面白かったです。
電車の中で「プププッ」って笑ってしまいました(恥)

仕事内容は若干違いますが、電話を受けるという点で共通点がある身としては、クレーム対応の場面はなかなか参考になることもありました。

ただ私の場合は照会電話なので、嫌な相手の電話を聞きながら「ヘイヘイホー」なんて心の中で北島三郎を歌っていたら、照会内容聞き逃してしまいますが。。。

面白い場面ばかりでなく、サラリーマンの現実をしっかり描写していて、どこの会社もこんなもんだとは思いませんが、大なり小なり「臭いものにはフタ」的なところはあるんだろうなあと何だか考え込んでしまうような場面もしっかりあって、いい作品でした。


「うん、本当に馬鹿だよ。みんなそう思ってる。だけど変えられない。みんな、怖いんだよ。いままで手に入れたものが消えちまうのさ。」

「手の中に握ってるものが、たいしたもんじゃないことを知ってるのに、手のひらを開くのが怖いんだ。全部こぼれ出ちまうのが。本当にたいしたもんじゃなかったってことを知っちゃうのをさ。誰も彼も、俺も。」


本当にその通りだと思う。


きっと本当に覚悟すれば、仕事を辞めたってどうしたって生きていけるんだろう。

手のひらにあるたいしたもんじゃない何かを捨てた先に、彼らは、手のひらを握り締めている人たちが決して知ることの出来ない、大きな何かをつかむことがあるのかもしれない。


だけど、手のひらを開くことを恐れている人たちを責めることも、笑うことも、愚かだと思うことも、私には出来ない。
  
     
「エンジェル」 石田衣良

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この作者は、

「池袋ウエストゲートパーク」
「娼年」
「うつくしいこども」

など何作か読みました。

特に「うつくしいこども」は何回か読み返したほどです。

どんな過酷な状況でも真実を追い求め、現実を受け入れ、人の心を強く信じる愛情深い登場人物にすごく感動しました。


しかし、この作品。初期作品のせいなのでしょうか。
それとも、前に読んだ「スローグッドバイ」時のひねくれ根性が尾を引いていたのでしょうか。
今ひとつ私にはぐっとくるものがありませんでした。

随所随所見れば、主人公の思いや精神的成長、悲しみや喜び、愛情は伝わってくるのですが、ストーリー展開のテンポもいまひとつちぐはぐで、リズムに乗れず、最後まで話に入り込めませんでした。

今まで読んだ作品が、私的に良かっただけにちょっと残念。


死後の世界の作品を、偶然にも続けて読みましたが、いったいどんな世界でしょうか。
生きるのも、死ぬのも、そしてその後の世界も、どこにいても大変そうです。
  
     
「スローグッドバイ」 石田衣良

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ごくありふれた日常にいる男女の恋物語。
短編集。


うーん・・・。

ふーん。
良かったね。


ミイラ化した私は、性格までひねくれてしまいました。
  
     
「ホタルノヒカリ」 1~10巻(以下続刊) ひうらさとる

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先日、おばあちゃんちの近くのBook-offに行ったら
目の前に1~9巻が。

「とりあえずストック」

とかごに入れ、他の本を物色しながら、

「今日は小説を買いに来たハズなのに・・・。」
「ていうか給料前でかなりカツカツだろう、自分!」
「いい歳してマンガ大人買いとかどうなん!!??」
「まとめて買ってあんまり面白くなかったらどうしよう」

優柔不断加減満載で悶々と悩んで、

「とりあえず半分買おう!」

ということで元にあった棚に行ったら、


既に違うマンガが陳列されていた・・・。やるな、店員。


「これやっぱりいりません」

って言うことも自意識過剰なので出来ず、運命だということにして購入。


面白かった☆

ドラマにはまってたぶん、どうなんだろうかと心配していましたが、
かなり笑わせてくれました。


ただ、ドラマを見てこのマンガ(原作)を見て思ったのですが、

干物干物といってますけど、

干物って表面乾いてますけど、身は結構潤ってるんですよね。

噛めば噛むほど味があるというか。


・・・そうか、ホタルはその乾いた表面から身をほぐしてもらったのか。

中身が実は潤ってるということにマコト君は(部長も)知ったのか!


じゃあ、本当の本当に乾いちゃったら?


ミイラ・・・・。

そうか、ミイラか。


あー・・・私結構やばいかも~。

どうしよ~。まあいいかーいいのかー?考えるの面倒くさいし~


そんなことを考えてたら、会社に着いていました。
  
     
「椿山課長の7日間」 浅田 次郎

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号泣です。

この人の作品はいつも涙が出ます。心が大きく揺さぶられます。

どの作品もみんな、自分のこと以上に相手の幸せを願っています。
自分の人生を抗いながらも受け止めています。


いつか死んだとき、きっと私も何かの罪がつけられるんだろうけど、
あっさり「反省ボタン」押すだろうなあ~と思いながら、
どこの世界もお役所は大変そうです。
  
     
「ルール」 古処 誠二

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「生きるのが最も困難だった時代に、生きるのが最も困難な場所」
での日本兵たちの戦い。

しんどい作品でした。
読んでてつらく、ここでのうのうと生きていることが申し訳ないくらいに。

極悪の環境で、飢えに苦しみ、それでも前に進み生きようとする日本兵。

しかし、飢えの前では人間社会の「ルール」など意味を持たなくなる。

「生きるために食うことでまともに生きられなくなるとは恐ろしいまでの皮肉」


私がここで意味もなく、ただただよっているのも、そうしていられるのも、

飢えることがないからだ。

恐ろしいくらいに平和だから。


人間が人間として「ルール」を守って生きていくこと。

簡単なようでいて、それはひどく脆い。

恐ろしいくらいに淡々と伝えてくる作品でした。

  
     
「悪人」 吉田 修一

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この人の作品は

「パークライフ」
「最後の息子」
「日曜日たち」

を読んだことがあります。随分前なので覚えてませんが、
「最後の息子」と「日曜日たち」はとても面白かったです。

さて、今回の作品。

とても現実的でした。

人は結局、自分の見たもの、聞いたこと、
自分自身の中にある尺度で物事をみるんだなと思いました。
それが間違っているとか、偏っているとかではなくて、
きっとそれが現実なんだろうな、って。

登場人物の各自がそれぞれの立ち位置で物事を捉え、考え、判断することが
登場人物のすべての状況や考えを見ている私からしたら、
「そうじゃないのに」って思うことがたくさんありました。

でも、それぞれからしたら、それが現実。

本作品のタイトルにもある「悪人」
結局、誰が「悪人」か。

あの人からしたら、彼は「悪人」。

彼女からしたら、彼は「大切な人」。

「悪人」からしたら、「悪人」となったのには理由がある。

きっと、誰もが「悪人」で、誰もが「悪人」でないのだと思う。
  
     
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